地域で活躍する会社から学ぶ -好成績・好業績の秘訣- 第9回

磯部建設株式会社(栃木県)

良い悪いをハッキリ断言できるタイプの受けがいい
散らかっている現場は出来映えも書類もダメ

好成績・好業績の秘訣シリーズ第9回は、磯部建設株式会社の福田常務に、 会社で働く技術者について、好成績を取得する技術者や現場の特徴などを伺った。

建設業界の活性化のため若手に投資

─── 福田常務は入社されて何年経つのですか?

福田常務

大学卒業後、磯部建設一筋36年になります。 先日、自分の母校に行ってきましたが、卒業した学科、土木工学科が建築都市環境学科に 名前が変わっており、さびしく複雑な気持ちになりました。
   そこで就職担当の教授に建築都市環境学科の就職状況について話を聞いたところ コンサル業者、設計事務所、公務員の希望者は多いけれど、建設会社を志望、入社する学生が 少ないのが現状とのことでした。当社においても新卒者の募集をしてもなかなか希望する学生が いなく採用できないのもやむをえないと思いました。

─── ある土木工学科さんでゼネコン系に行く比率が20%弱しかないと仰っていました。

福田常務

福田常務
福田常務

時代の流れで、どこの建設会社も若手が不足しているのが現状でないでしょうか? 今こういう時期に建設会社に入社し一生懸命にやっていけばチャンスだと思いますけど 労働条件、環境条件等この業界も改善されないと若手の就職率も厳しいのではないでしょうか?
   とにかく人材の確保は、重要課題です。新卒者の場合は、現場代理人として配置できるまでは 少なくとも3~5年くらいかかるっていうのが現状だと思います。それであれば即戦力の中途採用で 30代~40代、50代で10年、15年頑張ってもらおうという考えもあり、採用するケースがありますが 1~2年で現場の途中でやめますとか、新卒者でも教育をしながら1人前になったかと思うと退職してしまうとか、 とにかく人材の確保は難しいですよね。
   技術の継承、会社の活性化を図るためには、若い人材を手間、暇かけて育てていくことが必要不可欠だと思います。

人としての資質が現場管理に表れる

─── 技術者としてこういう方は発注者や地元から「受けがいい」といった特徴はありますか?

福田常務

発注者の場合は、担当職員との報連相、つまりコミュニケーションがよく取れていて、 自分の考えをはっきり言え、担当職員からの要求事項に積極的に対応する姿勢をアピールできる技術者ですね。 それと施工中は、地元住民等第三者からの苦情がないよう目配り、気配りのできる技術者は発注者からの 評価は高いように思います。

工事進捗状況報告書
工事進捗状況報告書

また、提出すべき書類なんかにしても、きちっと期日までに提出できるとか、1日24時間の中で当然、 現場管理もあるしデスクワークもあるし、日々管理するものがたくさんある。 時間を無駄にしないで時間の使い方がうまいというか、今日やるべきことを後回しにしないで きちっと行っている職員の現場は、安心して任せられます。

当社土木本部においては、工事進捗状況報告書、提出書類が月末にありますが、 問題なく施工管理がよくできている現場は、提出日2~3日前にメールで送信されてきますが、 提出日が過ぎて催促されてもさらに遅れて提出される現場があります。 たまたまうっかりして忘れていたというケースもあるが、だいたいにおいて日々管理が されていない現場があり、ここは注意現場であるというのが見えてきます。 このような現場は必ずと言って工事成績点も悪く、当初利益の確保もできないのが現状で、 そのような職員には意識改革を促している状況です。

─── 押さえるべきところを押さえている方が
優れているのですね?

福田常務

不思議なもんで、最初は、儲からなくても最後には利益をあげてくる職員がいる。 逆に最初は儲かっていても最後になると必ず儲からない職員がいる。 これが困っちゃうんですよ。

─── それはどう違うのですか?

福田常務

やっぱり現場管理能力ですね。駄目な現場は、きちっと物事が処理されていないということ。 工程管理や品質管理にしても、下請けさんとの打ち合わせにしても下請け任せで やっちゃっているところがあるとか。責任・使命感が足らないように思います。
   自分が会社から現場を任されているわけですから、計画工程に対し遅れている場合は、 何が何でもここまでに終わらせようと日々管理を行うことにより、実施工程が確保されていれば 余程の要因がない限り赤字になることはないんですよ。

工程が延びれば、職員の人件費、事務所損料、機械のリース代等経費が掛かる。 設計変更で増額となればある程度の利益は確保できるが、増額なしで工期だけが延びたのでは、 その分お金がかかることになってしまい儲かりません。

上手い職員は、工程管理ができていて、発注者との変更工事についての協議・打ち合わせが 綿密に行われ、工期内での変更交渉がうまくできている。

─── 適正に工期内でキチッとやれるタイプの方が利益を上げて更に点数もいいですか?

福田常務

いいです。ダラダラやってない、検査の打ち合わせまでしっかり工期内で出来るってことは、 変更もこの段階で発注者との打ち合わせも出来ている。当然点数もよくなっています。

中には、現場が終わってから書類を作成するのに1ヶ月かかるとかね(笑) このような現場は、利益・点数もよいはずがありません。フォローしながら管理はしていますが、 できる職員からは、不満が出ることもあります。言葉は悪いかもしれませんが腐ったミカンを そのままにしておけば周りも腐ってしまう。そんなことにならないよう、 利潤の追求と顧客評定点アップを目標に頑張っています。(次号に続く)

(取材・まとめ ワイズ)

磯部建設株式会社

磯部建設株式会社

(いそべけんせつ)

栃木県日光市に本社を置く総合建設会社。昭和25年創立の栃木県内大手企業のひとつ。

栃木県日光市今市1525番地
代表取締役社長 磯部尚士