2017/04/28 国土交通省 「第3回 建設産業政策会議 企業評価ワーキンググループ」を開催。
経審評価見直し、専門工事業者、民間工事業者の評価について議論。

4月28日、国土交通省は「第3回 建設産業政策会議 企業評価ワーキンググループ」を開催した。

「建設産業政策会議」は、昨年10月に立ち上げられ、劇的な進展を遂げるAI、IoTなどのイノベーション、労働力人口の減少といった事態を正面から受け止め、10年後においても建設産業が「生産性」を高めながら「現場力」を維持できるよう、法制度はじめ建設業関連制度全体の基本的な枠組みについて検討を行う。
「建設産業政策会議」では「法制度・許可ワーキンググループ」、「企業評価ワーキンググループ」、「地域建設業ワーキンググループ」の3つのWGを立ち上げ、今回は第3回の「企業評価ワーキンググループ」が開催された。

 

第3回 企業評価ワーキンググループでは以下のテーマにて議論がされた。
①公共工事の元請企業に対する企業評価制度
②専門工事業者に関する企業情報の提供
③民間企業の元請企業に関する企業情報の提供


①公共工事の元請企業に対する企業評価制度

経営事項審査の見直しとしては①生産性向上に関する評価、②働き方に関する評価、③地域貢献に関する評価の3点が示された。

・「生産性向上に関する評価」では、生産性の高い企業が高く評価される仕組みとして以下の案が示された。
  1.経営状況(Y)、技術力(Z)、社会性(W)点に企業の生産性を図る指標を評価項目として設定する案
  2.ICT建機の保有状況、電子商取引の導入状況等、社会性項目(W)で評価する案
・「働き方に関する評価」では以下の案が示された。
  1.社会保険未加入に関する減点を強化する案
  2.長時間労働是正に取り組む企業に対する加点する案
・「地域貢献に関する評価」では以下の案が示された。
  1.防災協定の締結での加点(現在は15点)の加点幅の拡大の案
  2.建設機械の保有状況での加点(現在は1台1点 最大15点)の見直しで、初めの数台の加点幅を強化する案と加点対象建設機械の拡大の案
その他、維持や除雪の評価として、維持や除雪について完成工事高に反映した評価結果も併記できるようにする案が示された。

 

また経営事項審査の審査書類の簡素化について提起され、工事経歴書と技術職員名簿に関する書類の削減について以下の報告があった。
工事経歴書では総完成工事高の7割まで、又は1000億円までとされているが、対象とする完成工事高の範囲を縮小する。またCI-NET等の電子商取引実績を審査時に評価できるようすることで確認書類の添付を省略することを検討する。
技術職員名簿では資格の合格証の写しなどの確認書類を簡素化する。

参加された委員からは以下のような意見が出された。
・生産性に関する評価では継続性等を考えると、Y、ZよりもW点で加点するのがいいのでは。
・生産性指標ではICT機械、電子商取引での加点が当面は無難。
・書類の簡素化は重要だが、虚偽がないようにする。あれば厳罰化する。
・不正に対しては立ち入り検査も検討。立ち入り検査マニュアル整備の話もでてきている。


②専門工事業者に関する企業情報の提供

優秀な技能労働者に対してその能力に見合った適切な評価を行い、各専門工事業の特性を踏まえた専門工事業者に対する仕組みを試験的に導入し、その実施状況を踏まえて、将来的に拡大・普及を図っていく。
専門工事業者は業種が細分化されており、評価すべき事項も異なる。国交省にて基本となる評価の項目や手法に係る基本的事項をガイドラインとして定め、各評価主体が当該ガイドラインに従って評価をする手法が示された。

専門工事業者に対する評価の例として以下の項目が取り上げられた。
・工事実績(特に下請の完成工事高)
・財務の安全性・健全性
・技能労働者の人数・能力(基幹技能者・技能検定保有者)
・優良従業員表彰の獲得状況(建設マスター等)
・建設機械の保有状況
・社会保険への加入
・建退協への加入
・職人の教育訓練体制
・安全管理体制

専門工事業者評価のイメージ
 

参加された委員からは以下のような意見が出された。
・使われるための方策が大事になる。
・業種ごとに評価内容が異なるが、できる業界からやっていく。


③民間企業の元請企業に関する企業情報の提供

民間工事の発注者が適切な施工能力を持つ企業を選定できるよう、建設企業の情報開示を進め、高い能力を持った企業が受注を確保できるような仕組みを作り上げていくことが望ましい。
以下のような点を段階的に進めていく方向性が示された。
・許可申請時に提出する書類(工事経歴書・財務諸表)については、許可行政庁の窓口で閲覧することができるが、許可の電子申請化と併せてこれらの書類をインターネット上に公開し、広く閲覧できるようにしていくことを検討。
・許可申請時の提出書類以外の企業情報についても、各企業のホームページ等において積極的に情報開示を促す仕組みについて検討。
・将来的には民間工事を受注する建設企業に対する評価の仕組みを構築することを検討。

また民間工事の元請企業について提供する企業情報として以下の例が示された。
・これまでの受注した主な工事の実績(建築物等)
・瑕疵保証等のアフターサービス
・過去の不適切な施工等の情報
・災害対応実績
・CSR活動
・コートレートガバナンス
・労働・雇用関連法規の遵守状況
・若年層の雇用状況
・下請代金の支払い状況

参加された委員からは以下のような意見が出された。
・許可情報や処分情報等は、民間工事の元請受注者だけでなく、全業者に広げたほうがいいのでは。

「建設産業政策会議 企業評価ワーキンググループ」は今回が最終回となり、他ワーキンググルーブの議論を踏まえ、6月をめどに建設産業政策会議の取りまとめがされる。



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