2013/12/26 第2回 発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(第1部)

12月25日 「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する
懇談会」の第2回会合が開かれ、国土交通省の吉田光一建設流通政策審議官をはじめ、
有識者・業界団体代表者などで構成される委員が議論を行った。


第1回会合で議論された
①事業の特性等に応じた多様な入札契約方式の適用のあり方
②技術力で企業を選定し、価格や工法等を交渉して契約する方式の検討
③若手技術者の配置を促す入札契約方式の検討
④地域のインフラを支える企業を確保するための入札契約方式の検討
といった4つの課題に加え、

⑤より適正な価格等の設定(施工実態等を踏まえた予定価格・工期設定、及び設計変更等)
⑥発注者間の連携体制の強化(発注者協議会の活用等)
が追加された。

①の「多様な入札契約方式の適用のあり方」については、国交省の青木建設業課長より、
「担い手不足を考えると、今後多様な入札方式は必要になってくる。
地方では今迄の方式をそのままやりたがるだろうが、技術者が不足している地方団体ほど
本来は新しい入札制度を使うべき。
特に維持管理などには手が回っていない実態があるので、橋梁の維持工事など
には有効だと思う。
市町村レベルでは決してビックリするような高度提案は要らないと思うが、
やってみようというところには予算をつけるだけでなく職員を派遣するなどの
形で支援していきたい。
その中での成果をガイドラインなどに活かしていきたいと考えている」と説明があった。

②の「技術力で企業を選定し価格や工法等を交渉して契約する方式」については、
昨年度の高度技術提案型の入札結果が示され、技術評価点で1位の企業が7件中1件でしか
落札できていない実態が示された。


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その結果、1,000万円以上かかると言われている提案資料の作成費負担が問題となって
おり、競争参加者が、工事を受注することを優先させるために「入札価格を意識した
技術提案」を行うことになり、より高度な技術提案がなされなくなる等の懸念があると
説明があった。

更に今回の技術提案競争交渉方式の説明として、
「価格競争方式」は要求する仕様等が特定できている既製品、例えば乾電池を購入する
ようなものであり、
「総合評価方式」は、「ある程度」要求する仕様等が特定できている場合、価格と品質の
両方から判断するようなものである。
「技術提案競争交渉方式」は、要求する仕様等が特定できておらず一定の予算を目安に
最も良い品質を選定するような方式であるとの説明があった。


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これについて委員から次のような意見があった。
・高度技術だけでなく、地方での小規模維持工事等で価格が合わないものにも適用して
頂きたい。
・全くの技術力だけでの評価ではどうかと思っていたが、参考価格などの説明で(価格
要素も)理解できた。
技術力だけで審査する訳ではないというアピールも外部には必要だと思う。
・技術点1位の企業が受注できていないとのことだが、今後は技術力審査が終わった時点で
「お宅が1位ですよ」的な公表があれば入札価格も変わってくるのではないか。
何れにしろもう少し調査してみた方が良い。
・第三者評価機関とのことだが、学者はプロではない。評価するとしても経験が無い。
職能としての評価者を検討すべき時期に来ているのではないか。学者に負担がかかり
すぎていると思う。
・工事の内容として高度なものだけがある訳ではない。簡素化の仕組みを検討することも
必要。指名競争入札も、既に談合の時代が過ぎ去った今では良い制度だと思う。
マーケットも変わってきている。

次に③「若手技術者の配置を促す入札契約方式」については、実際に若手を主任技術者等で
配置した際、例えば補佐役をどの様に評価すべきか、担当技術者として若手の配置を
義務づける制度はどうか等について地方整備局での試行例を元に説明があった。


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(第1部は以上)

※第2部では
④地域のインフラを支える企業を確保するための入札契約方式の検討
⑤より適正な価格等の設定(施工実態等を踏まえた予定価格・工期設定、及び設計変更等)
⑥発注者間の連携体制の強化(発注者協議会の活用等)
についてレポートします。