2012/02/03 情報化施工で工事成績 3.9点アップも 資格者制度創設の検討も始まる

情報化施工推進会議

国土交通省は情報化施工推進会議(委員長:建山和由立命館大学理工学部教授)を開催し、
現在までの実施状況と効果に関して説明すると共に、
今後の普及に向けた課題の取り組みと展開について議論を行った。
1.情報化施工の実施状況と効果について
1)情報化施工技術の一般化・実用化の方針
「一般化」
施工管理においては「トータルステーション(以下TS)による出来形管理技術」
施工においては「マシンコントロール(モーターグレーダ)技術」について、平成25年度の一般化に向けて普及の推進を図る。

「実用化」
施工管理においては「締固め管理技術」
施工においては「ブルドーザ・バックホウ技術」について実用化への対応・検討を進める。
(参考)トータルステーションによる出来形管理技術の普及推進

(参考)マシンコントロール(モータグレーダ)技術の普及推進

2)情報化施工技術の活用工事件数
昨年度までの活用件数は、全体数で1.7倍、土工事においては2倍程度に増加している。 
2.1 情報化施工技術の活用工事件数

3)活用目的について
グレーダやTSでは「人材育成」や「総合評価・工事成績での加点」目的が多く、
BH・BD・締固め等では品質の向上目的が目立つが、「コスト縮減」目的はゼロとなった。
3.2 活用目的調査

4-1)工事成績評定の分布と平均
情報化施工の活用により、土工事の工事成績評定点の平均は2.9点アップとなり、
アスファルト舗装工事では1.5点アップとなった。
4.2 工事成績評定の分布と平均

(参考)工事成績評定に関する施策

4-2)項目別の工事成績評定点
土工事では「出来形及び出来ばえ」で1.3点アップしている。
舗装工事では「創意工夫」で0.6点アップしている。
4.3 項目別の工事成績評定点

土工事ではバックホウ技術の「出来形及び出来ばえ」で3.9点アップしていることが目立つ。
舗装工事では、TS・GNSS締固めの「出来形及び出来ばえ」が1.9点アップしている。
4.4 各技術の項目別工事成績評定点の点差

2.普及に向けた課題の取り組み状況について
1)GNSSの仕組み、TSとの違いについて
GNSSはGPS衛星からの電波によって移動局が観測されるため、
1人で観測でき(TSは通常2人)、
水平方向の見通しに関係無く(TSは見通せることが必須)夜間でも観測でき、
計測ミスが発生しにくい(TSは計測技術が必要)という特徴がある。
欠点としては、鉛直方向の誤差が±30mmと大きいこと等がある。
(参考)GNSSの仕組み、TSとの違いについて

2)GNSSの出来形管理への活用について
GNSSの垂直方向の振れ幅が±3cmあり、土工の規格値±5cmに対して大きすぎる。
GNSSは計測精度に対して、規格値が十分に大きい工種での活用を検討する。
2.2 GNSSの出来形管理への活用について

3)研修等人材育成の実施状況(民間側)
資格制度の創設に向けた検討が始まっている。
平成24年度からは日本建設機械化協会主催の研修会において
試験問題が作成され、効果測定の試行が始まる。
4.2 研修等人材育成の実施状況(民間側)

25年度からは一部が一般化された技術として直轄工事に導入されるが、
総合評価方式入札制度と工事成績の強い関係からも、
厳しい経済環境の中で各企業の本格導入に向けた人材育成と資金力が試されることになりそうだ。