建設業界における先進事例イメージ戦略について

イメージ戦略-徳島県建設業協会-

建設業界を経済的、社会的及び技術的に向上させることを目的として組織され、現在 436 社が入会している

一般社団法人徳島県建設業協会は、毎年印象的なデザインの広告を掲載している。

今回はそのイメージ戦略について伺い、建設業界のイメージアップをもたらす方法を探る。

どのようなイメージ戦略を持っていらっしゃいますか?

行政などとのパートナーシップや様々なネットワークを有効に活用し、新しい社会課題に対する効果的な活動(地域の観光資源である遍路道の清掃活動、スポーツトレーニング等) を通じて、人々と交流し「建設業者が地域社会の一員」であることをより深く理解していただくため、地域社会との信頼関係を築くことを前提とした広報活動により業界のイメージアップに努めています。

新聞広告、ポスター作成等により、一般の方にもわかりやすいように幅広く建設業の魅力を発信していくことが、将来の建設業の担い手確保につながるのではないでしょうか。

主要事業

新聞広告、ポスター作成、特別講演会

スポーツトレーニング(少年サッカー)

イベントへの参加(徳島防災フェスタ)

あなたの笑顔にありがとう

平成22年掲載 「あなたの笑顔にありがとう」

広告を掲載したことで、どのような反応がありましたか?

毎年 1 月上旬に地元新聞紙の終面に全面広告を掲載しており、その時代背景を考慮した内容としています。

例えば、平成22年に掲載した「あなたの笑顔にありがとう」では、上勝町に住む当時 98 歳の方にスポットを当て、長い年月と人生の中で道路が生活を豊かにして行くことが朴とつとして書かれており、心が温かくなったとの声をたくさん頂きました。

平成24年掲載の「『造る』から『防(まも)る』へ」では、吉野川に架かる県内の橋を全て掲載しました。

一般の方からは橋の改修要望なども寄せられる等、橋が生活に欠かせないものであるとの認識を持っていただけたと思います。住民の皆さんの安全な暮らしを守るため、老朽化、損傷、劣化などが進んでいる橋のメンテナンスが急務となっています。

平成26年掲載の「命の道」では、南海トラフ巨大地震の発生が予想されている中、東日本大震災を教訓に道路が「防災」「減災」の役割を果たし、県民の命や安全、生活を守ることの認識を持っていただいたと思います。

『造る』から『防(まも)る』へ

平成24年掲載 「『造る』から『防る』へ」

『命の道』

平成26年掲載 「命の道」

急げ!頑張れ安心なマチづくりへ

平成27年掲載 「急げ!頑張れ安心なマチづくりへ」

今年の1月には、「急げ!頑張れ安心なマチづくりへ」をテーマに、「大規模災害時への対応」や「暮らしを支えること」が私たちの使命であると、その決意を表しました。 会員企業からは、「建設業が県民生活を創り守っていることを示してくれた」、「一企業では出来ないことを良く言ってくれた」等の言葉をいただきました。

ポスターに掲げられているキャッチフレーズもとても印象的ですが、
こちらはどのように決められているのですか?

建設業の構造改善事業が開始した年(平成元年)から、ポスターを作成してきました。

まず、テーマを設定し、記載内容は建設業界からの一方的な考え方として読まれることの無いよう留意しています。県民、発注者、受注者・・・それぞれの立場は異なっても、地域の発展と安全なまちづくりには県民・行政を含めたチームワークが不可欠であり、それぞれの立場で感じ方の違いがあるにせよ、建設業者の役割が正確に伝わることを最優先しています。

読み手に建設業を理解いただくために、広告代理店(コピーライター、イラストレーター)や関係機関の方々にもご協力いただき、多くの疑問や提言をいただくとともに、建設業の現状や必要性、将来への希望等を深く議論して作品のイメージを広げ決めていきます。

ポスターのキャッチフレーズは、そのフレーズから記載内容がイメージできたり、何だろう?と興味をもって記事を読みたくなるよう心がけています。

あなたの笑顔のための道

平成23年掲載 「あなたの笑顔のための道」

徳島県建設業協会

今の建設業界に必要なイメージ(印象)は何だと感じますか?

今の建設業に必要なものは過去の「建設業」のイメージからの脱却であると思います。一般の方々の建設業のイメージは「きつい」「きたない」「危険」の「3K」ではないでしょうか。

しかし、近年、情報化や施工管理が進み品質、環境、安全面でも十分管理されるとともに、ICT(情報通信技術)を導入したハイテク産業へと変化しています。

まずは過去のイメージを払拭することが大切ではないでしょうか。

協会が行っている事業のひとつに高校生建設現場見学会があります。見学後の感想文の多くは、普段自分たちがなにげなく使っている道路や橋などの工事工程を見て、ほとんどの生徒がそのスケジュールや現場環境に驚き、勉強になったと書かれています。実際現場を見るとイメージが変わるようです。

建設業は全ての人々と関わりを持っています。例えば、東日本大震災や平成 26 年 8 月の広島県土砂災害では、真っ先に被災地へ駆けつけ、人命救助や道路啓開作業を行っています。また、高速道路や鳴門海峡大橋が整備されると関西と徳島の距離は一気に縮まり、人々のライフスタイルや経済活動に大きな変化をもたらせました。

生活に欠かせない社会資本整備を担う建設業を正しく理解していただくためには、県民から信頼される業界となる努力をしていくことが必要です。

今後の建設業のイメージとして、「清潔感」と「たくましさ」(頼りになる事)を掲げ、日々の業務に精進していきます。

取材協力:一般社団法人徳島県建設業協会

常務理事 小島祥圓様

一般社団法人徳島県建設業協会

〒770-0931 徳島市富田浜2-10

TEL:088-622-3113

FAX.088-652-7609

このたびは、先進的なイメージ戦略の取り組みをご教示いただき、ありがとうございました。

ワイズグループでは今後も先進的な取り組みを取材し、全国の建設業界関係者に皆様に紹介させていただきます。