2017/02/28 経審に「生産性向上」「働き方」等の評価軸 / 申請書類等の簡素化 / 確認作業の第三者活用等について議論
(国交省 第1回 建設産業政策会議 企業評価WG)

2017年2月27日 国交省は建設産業政策会議 企業評価ワーキンググループ(丹羽秀夫座長)の初会合を開き、目下の建設産業を取り巻く状況に応じた企業評価のあり方について議論が行われた。

企業評価WGは、2016年12月22日に開催された建設産業政策会議において、10年後においても建設産業が『生産性』を高めながら『現場力』を維持していくために、検討すべき建設業関連制度の基本的枠組みに係る課題として提示された経営事項審査の見直しについて議論を行う。

冒頭、国交省 土地・建設産業局 谷脇 暁局長が、
「経営事項審査が建設業者の施工能力を判断するという役割のなかで、今後、企業をどのような評価軸で評価していくのか、また、それぞれの企業情報をどのように知ってもらうのかという観点でご議論いただきたい。」と挨拶した。  

国土交通省 土地・建設産業局 谷脇 暁局長

議事では、国交省より現行の企業評価(経審・入札参加資格審査・総合評価方式・民間工事における事業者選定・下請業者選定)の概要説明の後、今後の経営事項審査の評価軸や、企業評価の審査方法について議論がなされた。

建設業の事業分野別指針
出展:第1回 建設産業政策会議 企業評価ワーキンググループ 配付資料

<生産性向上>
現行制度における経営状況分析(Y)の評価指標では、生産性を直接的に評価する指標・項目はないが、平成11年までの制度では従業員1人あたりの「売上高」「総資本」「付加価値」といった生産性を表す指標が採用されていたことが報告された。
また、中小企業等経営強化法の「経営力向上計画」策定にあたり、推奨指標とされる労働生産性の算出方法が参考指標として示された。

<働き方>
「長時間労働の是正」「週休2日の実現」を推進する観点から、建設業における所定内・外労働時間の実態(全産業比+300時間/年)や、休日の状況(4週8休は建設工事全体で5.7%)についてデータが示され、その他審査項目(W)への評価追加について議論がなされた。

<地域における建設企業の役割維持>
地域を支える中小建設業に期待される役割として、
  ・地域社会の安全・安心の確保を担いなくてはならない存在であること
  ・基幹産業として地域の雇用を支えると同時に本業の経験を活かし地方創生に貢献すること
が示され、現行制度の”その他審査項目(W)”においては「防災活動への貢献の状況(W3)」「建設機械の保有状況(W7)」で評価されていることが示された。

<申請書類等の簡素化>
経営事項審査の受審にあたっては、企業規模が大きくなるほど多くの資料を作成する必要があり、また、審査側の行政庁の事務負担が多大であり、建設業者・許可行政庁の負担軽減の観点で第三者による確認や監査等の活用を含めた検討方針が示された。

<多様な経営判断への対応>
工事量・利益率等は一定の改善傾向が見られる一方、後継者問題を経営上の課題として位置づける企業の割合が増加している中で、経審が「合併」「譲渡」「分割」といった経営判断を阻害することのないよう講じられてきた特例措置について、後継者難等に起因する事業継承等への対応も今後の検討の視点として示された。

その他、議論の中では、経審受審業者約14万業者のうち、公共工事元請業者は約6万社であり、元請完成工事高が「ゼロ」の業者も相当数ある実態を踏まえ、経審が専門工事業者(下請業者)の選定にどのように活用されているのかを調査のうえ、情報流通のあり方についても今後、議論を進めるべきとされた。

建設業の事業分野別指針
出展:第1回 建設産業政策会議 企業評価ワーキンググループ 配付資料

議論の中で、委員からは以下の意見が寄せられた。

・経審が公共工事の”施工能力を担保する役割”であるのなら、「生産性向上」「働き方」「地域における建設企業の役割維持」といった新たな政策手段の割り当てを経審に求めるのは、難しい側面もあるのではないか?
経審は一つの制度としてとらえて、別の視点で評価することも検討した方が良いのではないか?

・現在のY点8指標は、前回改正時に過去5年間の財務諸表データを元に、倒産確率分析に基づく手法で設定を行った。現状の指標であれば8割の精度で倒産を判別できていると聞いている。
H11年改正以前、生産性指標を入れていたことで、リストラにより高得点を獲得していた企業が倒産するような事態に陥ったこともあり現在の設定になっている。
過去の経緯から生産性の指標を組み込むには抵抗がある。ROE(自己資本利益率)の導入等の意見もあり、今日的な視点で全体をオーバーホールすることも含めた議論が必要ではないか?

・地域建設業者に求めることと、スーパーゼネコンに求めることは合致しない。企業のサイズ別に分ける方式の導入も検討すべきではないか?

・入札時の総合評価方式の導入により、経審の役割も変化してきている。総合評価という新たなツールがある上での評価のあり方も検討すべき。

・その他審査項目(W)の評価が多すぎる。たとえば、建設機械の保有状況なら「機械はあるが、オペレーターがいない」状態でも評価されている。全体的な見直しも必要ではないか?

・(申請書類等の簡素化に関して)不必要なものはいらないが、情報精査を目的として求めてるものだと思う。事務負担がどの程度のコストなのか?
そのコストが過大かどうかはパブリックセクターで行われている現状ではわからない。過大かどうかの評価をするためのデータが必要ではないか?

企業評価ワーキンググループは今回提示された課題を整理し、建設産業政策会議で6月の成案とりまとめ向け議論が行われる予定。


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