2016/03/10 各委員等からの発言まとめ/第3回 i-Construction委員会②

(その1記事からの続き)

第3回 i-Construction委員会において、事務局からの骨子(案)説明後、各委員からは以下の通り
発言があった。

○小澤一雅委員(東京大学大学院工学系研究科教授)
生産プロセスの見直しについて、単にICTを活用するだけでなく、製造業で活用されている
リエンジニアリングのように建設現場のプロセスや体制を見直すことが重要。施工に精通した人たちが
設計にも意見を出すフロントローディングの仕組みが必要であり、効果の計測をフィールドで行い、
その効果を具体的に対外的に示すことが重要。


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※資料はhttp://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000028.htmlより引用

○冨山和彦委員(株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)
現在は、これまでに経験したことがない勢いで技術が進歩している時代なので、官民連携推進母体
(コンソーシアム)が必要。一例としてBoston Dynamics社の二足歩行ロボットの実例映像を示すが、
ITやロボティクスの分野はかなり早く進んでいるので、こういった技術を常に採り入れないと
遅れてしまう。

○藤澤久美委員(シンクタンク・ソフィアバンク代表)
このi-Constructionの仕組みをみていると、流通業のコンビニと大変似ていると思う。
全国の個店としての商店は一旦無くなった。そこにコンビニエンスストアの本社がプラットフォームを
用意してきて、物流やマーケティング、在庫管理、売り物のサプライチェーンを構築して全国の個店を
復活させたが、それと大変似ていると思う。
コンビニエンスストアが個店と紐付きしてプラットフォーム化していく中で、起きた問題点、
メリットなどを、整理していくと良いのではないかと思う。コンソーシアムをつくって
プラットフォーム化を図ると思うが、その際に全国一律のものとするか、コンビニのように
セブンイレブンとかファミマなどの全国プラットフォーマーが出てくるようにするのか、
コンビニでも北海道だけとかの地域型プラットフォーマーもあるようにするのか、どのようにするのか
決める段階が来ると思う。方式を決める際の基準として、海外への移転のしやすを入れて欲しい。
また、i-Constructionは周辺事業、新しいビジネスを生み出していくと思う。コンビニ業界では、
各コンビニへ人材派遣できるような会社が生まれてきたり、コンビニを複数運営するためのコンサルが
できるような会社が生まれてきたり、コンビニに納品するためだけの弁当会社が出てきたりしている。
地域の自治体が建設局(国交省)と一緒に進めていきたいなと思えるような展開が必要。

○建山和由委員(立命館大学理工学部教授)
i-Constructionを導入する意義のところで、安全性向上について更に注目しても良いのではないかと
思っている。
建設産業は他産業に比べて事故が多いということもあり、例えばICTを使って作業員が機械と
接触することを無くすとか、危険なところへ立ち入らなくて済むとかのメリットに注目して
活用したら良いと思う。
また、小さな建設会社さんと平準化の話をしていると、「うちは関係ない」と言われる。
大きな工事はなく工期が数ヶ月程度の工事で年度をまたぐようなことがない。どちらかというと
年間を通じてコンスタントに工事が発注される方がありがたいという話しがあった。

○小宮山宏委員長(株式会社三菱総合研究所理事長)
ICTを入れると大抵最初は(以前より)余計悪くなる。これは今までの業務を変えないで
ICTを入れるから、ICTを操作する人の分だけ余計に人がかかる。結局、ICTを入れながら
業務が改善されていって、両方が急に良くなるというのがICT導入の意味であり、
業務が変わらなかったら(ICT導入の)意味がない。
(ICT導入が)進んでいる企業と、進んでいない企業があったとして、進んでいない企業の
業務にあわせて(制度)設計をしていくと、かえってお金がかかるだけの結果になる。
業務が変わることを前提に考えていただきたい。細かい話しとして、平準化は小さいところは
関係ないとの話しがあった。公共工事が5兆円として今年度は700億円を(国債)活用とのことだが
1.4%に過ぎない。4~6月の大きな谷間が1.4%しか(集中度合いが)減らないのではないか。


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※資料はhttp://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000028.htmlより引用

○国土交通省
(国交省直轄工事ベースで)工期が1年以内の単年度工事が約3,500億円ある。
(700億円は)その内の2割を占めている。そういった面から見ると4~6月の谷が
埋まるのではないかと考えている。
しかし委員長が仰る通り、他の地方公共団体なども協調して実施しないと谷は埋まってこないので、
そちらの展開は別途必要になってくると考えている。

上記の委員発言の他、オブザーバーの日本建設業連合会、全国建設業協会等からも、他国との
競合に対する意見や、人材不足に対する投資等の意見が出された。

次回の会議は3月内に開催され報告書の取りまとめが行われる予定。

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